ニューラ@無限のファンタジア

アクセスカウンタ

zoom RSS 2008-05-19のブックマーク(BlogPet) ※銀蜘蛛工房

<<   作成日時 : 2008/05/20 16:02   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

きのう(2008-05-19)のニューラのブックマーク。




ブラックスミスがくろがねを打ち鍛え武具と成す鍛冶であれば、ホワイトスミスはしろがねを延べ紡いで魔具を生ぜしめる練成。
何れにしても、素材が為りたいと思う形にちょいと手を貸して遣れば良いだけの話だ。
なにも実際に手を下すわけではない、貴金属も宝石も修練場で用意してくれる。此方がするのは設計図を引き、ここはこうこうと指示を出すだけ。それでしっかりと此方の頭の中にあるものと寸分たがわぬ品が出来上がってくるのだから、修練場の職人は余程腕がいいらしい。

吟遊詩人を生業とする楽風が、こじんまりと自分のために広げている裏道の小さな店。
看板が上がって居るわけでも無い。在るのは仕事の為のテーブルと椅子、そして飲食する為の小さな厨房。
たまに知り合いが贈り物の相談になどくれば、石ならこれだの、花は何が良いのとお節介にも口を出す。
ただそれだけの、小さな店。

楽風がこの日引いた図は、戦装束。
戦装束ながら華やかな夜会服のように仕立てようと思った。
その人に似合う花を見出すのに幾許かの時間を使い、色を探し出すのにまた幾許か時を消費し、銘を拵えるのにもう少しを費やして、夜になった。
その晩は満月であった。
ただ満ち足りて其処にあるだけの丸い月が煌々と夜空を照らしていた。
窓から差し込むその月光の、夜と光との境界線を一筋導いて糸にしたら、さぞかし美しい布が出来るだろうかと空想した。
それとも蚕が月を食べれば、吐く糸は月の柔らかな金色に輝くだろうか。
絹のようにしなやかな──しかし、考えがどうもそぐわない気がして、楽風は頭の中の蚕を天に戻す。蚕は既に「天の虫」であるから、月を食べずに地から生える樹の葉を喰らうのだ。
同じ虫の糸なら、蜘蛛はどうだ。
蜘蛛ならば月を食べるだろうか。
あるいは月の光に惑う哀れな蛾を捕まえて、はしからちくちくと齧りつくだろうか。
いや、喰らわれる蛾はちっとも哀れではないだろう。
その身に帯びた月の光は蛾の体には過ぎた毒、どこまでも届かぬものに恋焦がれながら生きねばならぬ。
けれど蜘蛛が喰らうてくれるなら、その光を蜘蛛は糸に紡ぎ、糸は布となり衣となって人の心に届くだろう。
これほど願わしい事があるだろうか。

月下に最も似合う花、一夜限りの白い花を咲かせるその名を銘として、銘の形をとるならば、それは決して枯れもすまいと思った。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
2008-05-19のブックマーク(BlogPet) ※銀蜘蛛工房 ニューラ@無限のファンタジア/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる