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<<   作成日時 : 2012/12/31 07:59   >>

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シルバーレイン終了に付き。
あちらの結社に投げた「おはなし」を一部保存。

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「おかあさん、お話して」
「あなたたち、まだ寝ていなかったの?」
「お話、お話!」
「もうおやすみなさいをしたでしょ?」
「いっかいだけ!」
「……じゃあ、一回だけね。そしたらちゃんと寝なさい。それで、何のお話にするの?」
「おひめさまのおはなし!」
「また? はいはい、わかりました。……むかしむかし。あるところに、高い塔の上に住んでいるお姫様がいました──」

 お姫様は、ずうっと塔の上で暮らしていました。
 あるとき、こわいおばけに食べられそうになったので、大人のひとに地面の上に逃がしてもらいました。でも、地面の上にも悪い人間がたくさんいて、お姫様をつかまえてしまいました。
 お姫様は悪い人たちに毎日はたらかされて、ぼろぼろになってしまいました。
 塔の上の人たちはずっとお姫様を探していて、やっとお姫様を見つけたので、大きな雷を落として、悪い人たちをみんなやっつけました。
 大人たちはお姫様に、塔に戻りなさい、と言いましたが、お姫様はまたこわいおばけに食べられそうになるんじゃないかと思って、戻りませんでした。
 そのうち、お姫様は、優しそうな王子様に一目ぼれをして、同じ学校に通うことになりました。

「お姫様は王子様と結婚するよね?」
「他のお話のお姫様は、みんなそうね。たぶん、お姫様自身も、自分は王子様と結婚するんだって思っていたんじゃないかな。でも、王子様は自分の国に帰ってしまって、お姫様はひとりぼっちになっちゃったんだ」

 お姫様は学校でおともだちがたくさんできたので、王子様がいなくなってしまったのは悲しかったけど、悪いおばけをお友達と一緒にやっつけたりして、ぜんぜん寂しくありませんでした。
 けれど、そのうち、悪いおばけがどんどん増えて、春になると、学校よりもずうっと大きなへびが、毎日毎日現れて、ひとを殺し始めました。
 学校のひとたちはみんなで力を合わせてへびをやっつけて、いちばんすごいへびもとうとうやっつけてしまいました。
 みんなはとてもくたびれました。お姫様も、すごくすごく、疲れてしまいました。
 そうやって疲れきって眠った夜に、お姫様は夢を見ました。
 懐かしいお友達の夢でした。学校でなかよしになって、でも今は学校に来ていない、長い間会っていない大きな蜘蛛のお友達です。
 どうしてこの人の夢を見たんだろう、と思いました。でも、次の日も、その次の日も、おなじお友達の夢を見たので、お姫様はやっと思い出しました。
「わたし、このひとが好きだったんだ」

 お姫様は蜘蛛さんに手紙を書きました。お返事はありませんでした。
 そのまま春は夏に変わり始めて、お姫様の誕生日が来ました。
 お姫様はもう蜘蛛さんのことはあきらめようと思いました。それで、最後にプレゼントを贈ることにしました。仕立て屋さんにお願いをして、服を作ってもらいました。仕立て屋さんはいつもはすぐに品物を届けてくれるのに、そのときはどうしてだか、時間がかかったのです。
 お姫様が仕立て屋さんからの荷物を受け取った時、いっしょに手紙が届いていました。それは、ずっと待っていた、そしてもう来ないと思っていた、蜘蛛さんからのお返事でした。
 お姫様はとてもびっくりして、だけどまるで神様が自分に誕生日プレゼントをくれたような気がして、心を込めて一生懸命蜘蛛さんにお手紙を書きました。
 ただ、伝えられるだけで、満足です。
 あなたが好きです。
 次の日から、蜘蛛さんはまた学校に顔を出してくれるようになりました。

 夏に、せかいでいちばんおそろしい三日月のおばけが現れました。
 みんなで戦ったけど、たくさんの人がけがをしたり死んだりしました。お姫様もけがをしてしまいました。
 三日月を倒すと、中から十万の敵が出てきました。

「じゅうまん!?」
「そう、十万だよ」
「じゅうまんって100より大きい?」
「すごーーーーーく、大きいよ。だから、けがをした人たちも、もしかしたら死んでしまうかもしれないけど、一緒に戦おうとしたの。お姫様もね」

 蜘蛛さんはいつもなんだかそっぽをむいていて、もしかしたら好きなのは私だけなのかな、って思ってた。私だけが苦しいのかな。
 それでもいいよ。
 たとえば私の命を使うことで、この世界を、あなたを守れるのなら。それでいい。

「だけどお姫様は戦わなかったの。戦いに行こうとしたときに、蜘蛛さんが、行くな、って言って。お姫様は、どうして?って尋ねた。蜘蛛さんはすぐには答えられなくて、口をぱくぱくさせていたから、お姫様は少し待ってたんだけど、そのうちもう戦場へ行く扉が閉まってしまうと思って、答えを聞かずに扉へ行った。そしたら、扉はもう閉まっちゃっていたから、お姫様は戦えなかったのね」
「それからどうなったの?」
「十万の敵は全部倒されて、世界は平和になりました。お姫様は、蜘蛛になって、大きな蜘蛛さんのおよめさんになりました。ふたりのあいだには子供がたくさん生まれて、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。おしまい。」
「ねえ、お姫様って、ほんとうはおかあさんのことなんでしょ?」
「さあ、どうかなあ……どう思う?」
「おかあさんがお姫様なわけないよ。いつも怒ってばっかりで、ぜんぜんきれいじゃないじゃん!」
「……あんたって子は、もうっ……早く寝なさい!」
「いてっ! ……ほら、ね?」


それは、どこか遠くの、いつかのお話。

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