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zoom RSS むげファン参加者に30のお題 12:「裏切るなかれ」

<<   作成日時 : 2007/05/12 20:16   >>

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 月の綺麗な夜に、思い出していた。
 あれは、二月のランララのお祭りの夜。
 相談もなくミュントスにいってしまったヒロシくんとは誘って行く事も出来ず。
 恋人達の夜に、私は置いてけぼり。

 聖花祭で恋人達は、試練を潜り抜けて、女神の名前を冠する木の元へ、そこで待っている恋人の所へ行く。
 私は試練を出す係の一人だった。
 ちょっとした、古典を引用した謎かけ。
 それくらいしか、やる事が無かったんだもの。

 暇になると、丘を登り私も木の上にいってみる。
 一応、シングルの人の溜まり場もあるし。
 ‥‥どっちかといえば隔離所なのかもね?

 そのときもリベンティーナの知り合いに会って話し込んでるうちに、ブレントさんもひょっこり現れて。
「なんでこんなところに?」
 なんて誰かに声を掛けられて、相手がいないんじゃここしか来る所は無いだろう、とか、そんな風に答えてたっけ。
 ‥‥少しほっとしてる自分がいた。
 おかしいよね、自分にはヒロシくんって恋人がいるのに。
 けれど、寂しかったのは事実。
 ヒロシくんに会うよりもっと前から、ブレントさんに惹かれていたのも事実‥‥。

 めまぐるしく人が出入りする喧騒の中で、何を話したのかよくは覚えていないけれど、記憶の断片の中でブレントさんが言ってたのは
「嫉妬なんかしない」って。
 どういう文脈でその言葉が出たのか思い出せないけど、でも私は
「嫉妬して欲しいな」
って言ったんだ。
 ブレントさんは、ただぽりぽりと頭をかいて、苦笑していたと思う。

 曇りの日にも太陽が空にあるのは知っているのに、風がたとえ見えなくてもそこにあることは理解できるのに、愛だけが信じられない。
 頭の上で燃えているろうそくみたいに、まだそこに明かりが灯っているのか始終確かめずには居られない。
 きっとね、何度も確かめるから、つい触れてはいけない部分に触って自分で火を消してしまうんだと思う。
 ‥‥消えてしまった火と、火傷の痛みだけが残るんだ。

 帰ろうとするブレントさんを引き止めた。
 恋人になりたいとかそういうのではなくて、ただ好きな気持ちのままでいられたらいい。
「好き」は私を元気にしてくれる。
「好き」は私を穏やかにしてくれる。
「安心」って、「心」が「安全」な事なんだと思う。
 安全だから、武装しなくていい。人を傷つける刃も、不信で固めた鎧も必要ない。
 心が素のままでいられるのは、しあわせ。
 二つ返事で、ブレントさんは私の誘いを受けてくれた。
 人ごみに流されるようにして私は泉にたどり着き、息を整える。
 程なく、猫背を丸めてブレントさんも来た。よぉ、と手を上げて。
「帰り間際にお誘いしてすみません‥‥」
 私は頭を下げる。少しだけ一緒に居たかったんですと小声で付け加える。
「いつもありがとうございますとか‥‥そんな言葉しか出てこないんですけど」
 ああ、何を言おう。何を言えば良いんだろう。
 ブレントさんは目を細めて笑った。
「そーいやぁ、こんな風に話すのは初めてだなぁ‥‥」
「‥‥なんていうか」
 私は、少し口ごもる。
「例えば、私が騎士でブレントさんがお姫様だったら、あなたをずっとお守りしますって誓えば済む話なのかな、って思うんですけど」
 今思えば何をいっているのやら、と言う感じだけど。
 ただ、その前からずっと、自分が出来る事を考えていた。
 ‥‥ずっと。



ルクレチア様の討伐の依頼がウェヌス女王から下された時、受けます、と言った。
言ったからといってその依頼に行ける訳ではない。
沢山の冒険者がその依頼に入りたいと申し出た場合には、色々な要素でふるいに掛けられる。
例えば最近依頼に入ったかどうか。
冒険者全体から見れば、一人の高位の冒険者より、中位が10人いたほうが都合がいい。だからなるべく多くの冒険者が経験を積めるように配慮がなされている。
自分より相応しい人が入れそうなら自分が抜ける事も考えてはいたけれど、最終的に参加者の中に私が入れたのは僥倖というべき事で。
往々にして私の言葉はとげとげしくなる。
真剣になればなるほど、余裕を失ってその性質が顕著になる。
正しい事を言っても、他の人に受け入れられなければ、意味が無い。
だけど、何が出来るかわからなくても、何もしないよりはマシ。

依頼の結果が出る前に、リベンティーナを抜けた。

「思うところ有りまして、リベンティーナを一時退団いたします。
今回、寵姫の愛依頼に参加したのですけど、その結果をみて、自分で納得がいったら、またリベンティーナにお世話になる事を考えようかと思います。
お世話になれるような状態であれば、なのですけど。

ブレントさんのことは裏切りたくないし、だけど自分にも嘘をつきたくは無い。
出来るだけ誰も傷つけずにすめばいい、なんて思ってますけど、きっと虫が好いのでしょうね。」




そして、ガランルフレ設立。



「 昼行灯の霊査士・ブレント 様

お世話になっております、ニューラです。

寵姫依頼の結果が出ました。
やはりヘタレな行動しか出来ませんでしたが、命は捨てずに済んだようです。
けれど、リベンティーナには戻れなくなりました。
とりあえずガランルフレへ行くつもりです。
もし入団届けがはねられても、こんな状況を引き起こしてしまったのですから、リベンティーナに戻るわけにも行きませんでしょう。
手がいくら在ってもいい時期に随分人が抜けてしまったようで、心が痛みます。
ごめんなさい。」




ガランルフレの薔薇が散ったあとは、琥珀宮の団長の言葉もあって、夜が明ける前にリベンティーナへ入団届けを出した。
何を書いたかなんて覚えてない。
ただ、早く顔が見たかった。




いつもおびえているのは、添い遂げられないという予感。
ずうっとまえから。
おびえながら近づいて、きっともう大丈夫なんだって手を伸ばした途端に天罰はいつもやってくる。



側に居たい。
触れてはいけない。
‥‥なんだか、ハリネズミの恋みたい。
冒険者になる事と人を好きになることって、似ているのかもしれない。
怪我をしたくない、死にたくないのなら冒険者になんかならなければいい。怪我したり死ぬ危険のある依頼になんか入らなければいい。
裏切るのが怖いなら、はじめから信頼関係なんて結ばなければいい。


でも、私は冒険者だし、‥‥好きなんだ。


触れて欲しい、言葉をかけて欲しい。
そんなのはわがままだって判ってる。
そんなわがままを抑えられないのは悪い事なんだし、罰を受けるに相応しい。
迷惑をかけないうちに。
裏切らないうちに。

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